お辞儀の挨拶

2008年にデッサウのバウハウスを訪問した際に「お早う日本」という展示会が行われていた。日本文化を紹介するものであったが、日本のお辞儀を「変わった風習」のように看板を出して紹介していた。日本人には「西洋人がするハグ(抱擁)や握手をしてはいけない、頭を45度の角度で下げるお辞儀をしろ」というものであった。しかも日本人を浴衣を着た姿で現していた、なにか茶化された感じがして当時はあまり良い気分がしなかった。しかし新型コロナウイルスが世界的に蔓延し、他人と抱擁も握手もできない時代になった。このような時に日本式お辞儀を世界標準の挨拶にしては如何であろうか?ただし、お辞儀はあまり接近して行ってはいけない。1.5m位の離隔が必要であろう。2008年に行われたバウハウスの展示会は先を見た素晴らしい提案であったのだ。

(田中辰明 お茶の水女子大学名誉教授)

2021年1月12日